東京国立近代美術館は1952年12月に開館し、2022年度は開館70周年にあたります。これを記念して、明治以降の絵画・彫刻・工芸のうち、重要文化財に指定された作品のみによる豪華な展覧会を開催します。
とはいえ、ただの名品展ではありません。今でこそ「傑作」の呼び声高い作品も、発表された当初は、それまでにない新しい表現を打ち立てた「問題作」でもありました。そうした作品が、どのような評価の変遷を経て、重要文化財に指定されるに至ったのかという美術史の秘密にも迫ります。
重要文化財は保護の観点から貸出や公開が限られるため、本展はそれらをまとめて見ることのできる得がたい機会となります。これら第一級の作品を通して、日本の近代美術の魅力を再発見していただくことができるでしょう。
重要文化財は、1950年に公布された文化財保護法に基づき、日本に所在する建造物、美術工芸品、考古資料などの有形文化財のうち、製作優秀で我が国の文化史上貴重なもの等について文部科学大臣が定めたものです。そのうち特に優れたものが「国宝」に指定されます。
明治以降の絵画・彫刻・工芸の重要文化財のみで構成される展覧会は今回が初となります。明治以降の絵画・彫刻・工芸については、現在68件が重要文化財に指定されていますが、まだ国宝はありません。本展ではそのうち51点を展示します。
明治以降の作品が最初に重要文化財に指定されたのは1955年。以降、いつ、何が指定されたかをたどっていくと、評価のポイントが少しずつ変わってきているように見えます。それはすなわち、近代日本美術史の研究の深まりの反映でもあるでしょう。
10年前の開館60周年記念展「美術にぶるっ!」展では当館の所蔵品・寄託作品計13点の重要文化財をまとめて展示しましたが、今回はその後に指定された作品や、国立工芸館の鈴木長吉《十二の鷹》も加えた17件を初めてまとめて公開します(会期中展示替あり)。
ご好評につき、下記日程の夜間開館が決定しました。
(午後8時まで開館。入館は閉館の30分前まで)
5月2日(火)、3日(水・祝)、4日(木・祝)、7日(日)、9日(火)、10日(水)、11日(木)、14日(日)
※5月1日、5月8日(月)は通常どおり午後5時閉館(入館は閉館の30分前まで)となります。